らっく!!
「よお、久しぶりだな?」
腕組みをして壁に寄りかかりこちらを見据える匡人に俺は軽く息を吐いて答える。
「いると思ったよ…匡人」
俺は匡人を正面から睨みつけた。
匡人から連絡をもらった時、予感はしていた。
俺が間違いなく来ることをこいつならわかっているはずだ。
だからわざと知らせたんだろう?
「何しにきた。今更、彼氏面すんなよ」
強烈な皮肉に愛想笑いすらもせずに匡人の隣を通り過ぎようとする。
「お前…何があった?」
俺の腕を掴んで詰問する匡人の目には真実を知りたいという意思が見えた。
その手を振り払う。
「お前には関係ないことだ」
そう返すと俺の体は壁に叩きつけられた。
次に発せられた言葉は驚くべきものだった。
「じゃあ、俺が美弦ちゃんをもらってもいいんだな?」
…匡人の不敵な笑みが俺の前で鮮やかに消えていった。