らっく!!
「起きた?」
「あ…うん…」
…気まずい。
今、ここでこうしているってことは紘一さんには何が起こったのか知られてしまったということだ。
申し訳ない気持ちで一杯になる。
「お粥作ったんだ。食べるよね?」
紘一さんの後ろ手にワゴンが引かれている。
その上には一人用の土鍋がのっていた。
「あ…ありがと…」
紘一さんはベッドの傍にお粥を置き、ベッドの端に座った。
「大丈夫?お医者さんが寝不足と過労が重なって体が弱ってるって言ってたけど…」
紘一さんは私の体を起こすのを手伝ってくれた。
「平気…。それよりごめんなさい…。私…」
駄目だった。
私はまた何一つ出来ないまま紘一さんのお荷物になってしまった。
「美弦…責任を感じることはない。脅したあいつらが悪いんだ」
紘一さんは不快そうに顔を歪めた。
「でも…」
「美弦はよく頑張ったよ。脅されても屈しなかった。そのおかげで俺も会社も助かったんだ。むしろ俺がお礼を言わなくちゃいけないくらいだ」
紘一さんはそう言って何度も頭を撫でてくれた。
誇らしげに、微笑みながら。