らっく!!



「ふ…」


だめ…。


私の涙腺、壊れたみたい。


今はどんな優しい言葉でも泣けてくる。


「美弦…美弦は堂々としてていいんだ。隠し子だからって気に病むことはない。美弦らしく堂々と生きればいいんだ」


手で顔を覆いコクコクと何度も頷く。


声にならなかった。


紘一さんに認めてもらえた気がした。


今まで守られていた立場から初めて対等になれた気がした。


それが堪らなく嬉しかった。


今なら素直に言える。


「あり…がと…おとう…さん…」


しゃくり上げる声を押し殺しながら言う。


伝わったかどうかはわからない。


それでも紘一さんは私の背中をさすってくれた。


ずっと―…。


ずっと―…。


お母さん…。


お父さん…。


ありがとう。


私…幸せだよ…?


ありがとう。



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