らっく!!
「いってきまーす」
私はいつものようにそう言って玄関を出た。
慌しい休日だった。
美弦は倒れ、高屋先輩とは相変わらず音信不通で。
最近の私の頭の中には常にあのふたりのことがある。
「はあ…」
出したくもないため息が無意識に出てしまうのも仕方がない。
心と体を休める休日がここのところ、ことごとく潰されている。
裏と表を使い分けるのもそれ相応の体力がいるのだ。
そそくさと校門をくぐる。
今日も美弦のいない学校が始まる。
「おはようございます、大原さん」
「おはようございます」
…疲れていても思わず笑顔で答えてしまうのは条件反射に違いない。
教室に着いてもそうやって何人もの生徒に声をかけられる。
いつものことなのに鬱陶しい。
いい加減嫌気がさした頃になって私は教室の扉の前に呼び出された。