らっく!!
「会長?なんですか?」
猫を被っていくと会長は眉間に皺を寄せ、あからさまに嫌な顔をした。
うっさいわ!!
こっちだってあんたの前で好きで猫被ってるわけじゃないわよ!!
教室の前なんて公共の場所で本性なんて見せたくない。
「今日、美弦ちゃん来てるか?」
「今日も家で療養中ですけど…」
「そうか…」
会長は壁に手をついてハアッと息を吐いた。
心なしかその表情が暗い。
「なにかあったんですか?」
「…愁が休学届けを出した」
「休学届け!?」
思わずだした大声に会長が私の口を塞ぐ。
どうしてそんなものを…?
「俺は今から愁の実家に行ってくる。お前は待ってろ」
今にも歩き去っていきそうな会長の制服を引っ張る。
「大人しく待ってるわけないじゃない!!」
「あのな…」
呆れている会長を前にまくし立てる。
「だってこんなの卑怯よ!!学校からいなくなったら美弦とは何の接点もなくなるじゃない!!」
美弦はやっと自分に正直になろうとしているのに…。
「相手に未練持たせておいて、“ハイ、サヨナラ”なんて絶対許さないわ!!大体、紘一さんだってこのこと知ってるの!?」
美弦の気持ちを最後まで受け取るのが高屋先輩の精一杯の義務でしょ?
それすらしようとしない高屋先輩が私には卑怯に見えてならなかった。
会長は目を見開いて私の顔を凝視した。