らっく!!
「…今…なんて言った…?」
会長は私の肩を強く掴んだ。
「え?だから…相手に未練持たせて…」
「その後だ!!」
「“大体、紘一さんだってこのこと知ってるの”?」
「クソッ!!」
会長は悪態をつくと私の手を取り走り出した。
「えっ!!なに!?」
いきなり走り出した会長の背中を見ながら私は驚きの声を上げた。
「お前も来い!!」
「へっ!?」
それは望むところだけど…。
先ほど抜けたばかりの校門を今度は会長と一緒にくぐる。
「ねえ?どこ行くの?」
乗せられた車は市街地を抜け、都市の中心部に向かっていた。
「俺としたことが見落としてたぜ…」
私が首を傾げていると会長はまだわからないか?と問いかけた。
「よく考えてみろ。紘一さんなら理由もなく愁が美弦ちゃんと別れたって聞いたら大人げなく文句のひとつも言うだろうな」
会長は拳のおまけつきでと最後に付け足した。
「それがどうだ?紘一さんは文句も言わずに沈黙を守ってる」
車は猛スピードで道路を進んでいく。
「…十中八九、紘一さんはすべてを知ってる。知った上で俺やお前。美弦ちゃんにさえ黙ってるんだ」
私は新しい真実に息を呑むしかなかった。