らっく!!



「朝食をお持ちしました」


高梨家のお手伝いさんが朝ご飯を持ってきてくれる。


私がこうして寝こんでいる時から毎日のようにされているがまだ慣れない。


「ありがとうございます。わざわざすいません…」


「御用でしたらいつでもお申し付けください」


にっこり笑ってお手伝いさんは部屋を出て行った。


そう言われても恐縮しちゃうんだよね…。


自分のことは自分でやるという習慣がすっかり身についていただけに尚更だ。


「私って貧乏症…?」


う~ん…。


そう思いながら焼きたてのパンを食べる。


もちろんたっぷりとバターが塗ってある。


起き上がれるようになってからはおかゆ以外のものも食べられるようになった。


高梨家のコックさんの腕は超一流で私にとってはどれももったいないくらいだ。


朝からこんなに豪華な物を食べられる日が来るとは…。


運命って恐ろしい…。


のんびりとした朝食の雰囲気を破ったのは他ならない、凪ちゃんだった。


「…美弦…!!」


ドアを蹴破りそうな勢いで凪ちゃんが私の名前を呼ぶ。


「あれ?どうしたの?」


今日は平日だから学校あるはずだよね…?


「のんきに朝ご飯なんて食べてる場合じゃないのよっ!!」


凪ちゃんはまだもぐもぐと口を動かしていた私の肩を掴んだ。


「高屋先輩が今日アメリカに行っちゃうの!!」


…時が止まった気がした。


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