らっく!!
「高屋夏輝が帰ってきたのはね…。高屋家の次の後継ぎを決めるためだったのよ」
「ねえ…それが私達が別れたことと関係あるの?」
私が聞きたいのはあくまでも愁の話であってお兄さんの話ではない。
それが分からない凪ちゃんではない。
「まだわからない…?」
凪ちゃんは私の目を正面から見据えた。
「高屋先輩は正式に後継ぎに指名された」
その瞳に嘘偽りはなかった。
あまりの衝撃に頭を殴られたような気分だった。
な…んで…?
なんで物事って上手くいかないの…?
「私達…もう戻れない…ね…」
もう戻れない。
もう届かない。
愁はそんな人になっちゃったんだよね…?
もう終わりなんだね私達…。
「痛っ…」
バシンっとけたたましい音ともに私の頬が熱くなった。
凪ちゃんの平手で虚ろな気分から現実に引き戻された。
「バカっ!!」
そう言った凪ちゃんの眼には涙が浮かんでいた。
なんで凪ちゃんが泣くの…?
泣きたいのは私だよ?