らっく!!
「高屋先輩がどんな気持ちで別れを告げたかわかる!?全部あんたの為じゃない!!」
流れる涙を拭おうともせず凪ちゃんは私の肩をしっかりと掴んだ。
「私の…ため…?」
「高屋家の後継者になるってことはね?今までと同じではいられないの!!いつどこで何をするにも必ず人目を気にしなきゃいけない。誰と付き合ってもマスコミの目を気にしなきゃいけないの!!」
凪ちゃんの顔はすごく真剣だった。
「もしあんたがそのまま高屋先輩と付き合ってたら、いつか紘一さんの隠し子だって突き止められる。そうなったら傷つくのはあんただよ!?あの人にはそれがわかってた。だから…別れた」
凪ちゃんはゆっくり離れた。
「わかった?これが…真相…」
体から力が抜けた。
どうして…っ…。
「…いや…っ…こんなの嫌だよ…!!」
「美弦…落ち着いて…?」
愁は守ってくれたの…?
私をマスコミから、白石達みたいな人から守ってくれたの…?
どうして気づかなかったんだろう?
愁はいつだって私のことを考えてくれていたのに。
「凪ちゃん…私…どうしたらいいの…?まだ愁に…大事なこと何も伝えてないよ…!!」
どうしたらいいの…?
与えてもらうばかりで何も返せてない。
好きだって気持ちでさえもまだ伝えきれてない。
私が愁にできることはないの?
答えが知りたくて凪ちゃんにすがりつく。
私の問いに答えるように凪ちゃんは制服のポケットからなにかを取り出した。