らっく!!
その文字を見た瞬間、私の口から出たものは嗚咽だった。
「笑っちゃうよね?財産も頭脳も、人が欲しがるものをすべて持ってるあの人が望んだことはたったひとつなんだよ?」
シルバーリングを握りしめたながら泣き出す私を凪ちゃんは優しく抱きしめた。
“きみのそばにいる…”
愁が望んだのは…。
他でもない。
私と同じこと。
「ふっ…うわ―んっ!!」
私…馬鹿だ…。
私が与えられるもの。
その答えは簡単なことだった。
愁は誰よりも私を望んでくれた。
愛してくれた。
そばにいる。
これほど簡単なことにすら気づかなかった。
人を信じられなかった愁がこの言葉を伝えるのにどれほどの勇気がいるのだろうか?
そうだよ―…。
愁は誰よりも…。
誰よりも―…。
寂しがっていたのに―…。
「美弦…あんたも選ばなきゃいけないよ?高屋先輩と一緒にいたいなら…あんたも守られてばかりじゃだめ。強くなりな」
「わたっ…わたしっ……っ…!!しゅうっの…」
傍にいたい…。
愁がそれを望むなら私も強くなろう。
守られるのはもう嫌だから。
愁のそばにいるには同じ世界に行かなきゃ…。
待ってて?
今から伝えに行くよ―…。