らっく!!
「おいっ!!愁っ!!」
物思いに耽っていた俺は急に現実の世界に引き戻された。
「匡人…お前どうしてここに?」
匡人は息を切らしながら走ってきた。
「ばっかじゃねえの!?休学届なんか出しやがって!!」
匡人の様子からは怒りというより呆れを感じた。
「紘一さんに会ったのか…」
「ああ…全部聞いた…ホント…バカだよ。お前は…」
匡人は俺の肩に手を置きうなだれた。
高屋を継ぐと決めたとき紘一さんだけには全てを話した。
美弦を守るために別れると言うと紘一さんはありがとうとだけ呟いた。
「悪いな…匡人…」
「美弦ちゃんが喜ぶと思ってんのかよ…?」
匡人に言われなくてもわかってる。
美弦はきっと喜ばない。
だから黙って行くんだ。
「後は…よろしく頼む…」
「やだね」
匡人は思いっきり俺の鳩尾を蹴り上げた。