らっく!!



「おまえっ!!何すんだよっ!!」


匡人の蹴りは見事にヒットし俺は鳩尾を押さえながら匡人に文句を言った。


「俺はなあ…面倒くさいことが大嫌いなんだよ!!」


「自慢げに言うなっ!!」


久しぶりに見たぞ!!この理不尽振りは!!


「俺だってこんなに自由に生きてんだ。お前だって高屋に負い目を感じずに自由に生きろよ」


匡人はそう俺に言い残すと今度は兄貴に向かって挨拶をし始めた。


「お久しぶりです。夏輝さん」


「色々噂は聞いてるよ。東城はこの先も安泰だな。高屋はまだまだ不安定だからな」


「いえいえ」


匡人は見せ掛けだけの謙遜をしていた。


「今度ゆっくり話でもしよう。悪いが今は時間がないんだ。おいっ!!愁っ!!父さんがそろそろ見送りに来るぞ」


「わかりました」


父さんを迎えに兄貴と空港の入り口に向かう。


…その時だった。


「愁っ!!」


…ずっと心の中では望んでいたんだ。


…もう一度会えることを。


…望まずにはいられなかった。


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