らっく!!



「愁っ!!」


見つけた―…。


愁と匡人先輩それからお兄さんが声の主である私を見た。


走ってきたからきっと髪もボサボサで泣いたから不細工な顔になってる。


でも今は関係ない。


…ずっと会いたかった。


「何でここに…?」


愁の表情には驚きしかなくて、冷たい目で見られることはなかった。


「凪ちゃんに…聞いて…会いたくて…」


車の中でずっと考えてたのにいざ目の前にすると言いたいことの半分も言えない。


「美弦ちゃん、大原は…?」


匡人先輩がキョロキョロと辺りを見回す。


「おいてきました」


だって走るの遅いんだもん。


「しかたねえな…」


匡人先輩はそう言うと凪ちゃんを探しに行った。


「愁…話があるなら早くしろ。俺は先に父さんを迎えに行ってくる」


お兄さんは私達の様子を察したのかその場を離れてくれた。


2人っきりなってしまった。


あんなに会いたかったのにいざ目の前にするとどうしたらいいかわからない。


私達の前に長い沈黙が下りてくる。


それを破るように私は口を開いた。


< 384 / 390 >

この作品をシェア

pagetop