らっく!!



「愁はずるいよ」


私の一言に愁は目を丸くした。


「何も言わずに全部決めちゃってずるいよ」


ひとりで全部決めちゃって、抱え込んで。


私がそんなことされて喜ぶと思ってんの?


「私だっておんなじ気持ちなんだよ…?」


指輪に刻まれた文字は愁だけじゃない。


私も同じ。


私は指輪を取り出し愁の手のひらの上にそっとのせた。


「見たの…?」


「うん」


愁は顔を赤くし恥ずかしそうに俯いた。


「愁…この指輪はふたつでひとつなんでしょ?」


私は左手の手の甲を愁に見せた。


そこにはきちんと中指に指輪がはまっていた。


「私達も…だめなんだよ。この指輪みたいにどっちかが欠けてたらだめなんだよ…」


私はそう言って愁の胸に飛び込んできた。


「私は愁のそばにいたい…」



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