真実の糸
「翔さん、着替え、ここ置いときますね。」


「うん、ありがとう。」


私は、翔さんが着ていたものを洗うため、翔さんのYシャツに触れた。


あぁ、この匂い。
翔さんの匂いじゃない。女の人の香水の匂いだ。


私は、リビングに戻り考えた。


翔さんは、本当に私と結婚していいのか。


私は、自分の思いを押し付けてるだけじゃないのか。


「朱里、どうした?泣きそうな顔して。」


と翔さんが、私の顔を覗き込んできた。


「なんでもないよ。大丈夫だよ。」


でも、翔さんは、納得のいかない顔で


「朱里の大丈夫は、大丈夫じゃないだよなぁ〜。」


とソファーに座る私の頭に手を置き。ポンポンと頭を撫でてくれた。


「本当は、何かあったんじゃないのかぁ?俺に言えないこと?」


「違うよ!!本当になにもないから!!」


「じゃあ、顔を上げて、俺の目を見て、なにもないって、言える?」


「言えるよ!」


「じゃあ、言ってみろよ!」


私は、今日、初めて翔さんの目を見た。


クリクリしていて、とても、真っ直ぐな目を……。


私は、目が話せなくなった。


やっぱり、翔さんには、敵わないや。


私は、観念して、思っていることを話して見ようと思った。


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