真実の糸
「今日のパーティーで、話してた、女の人誰?」


「おんなぁ、えぇ〜っと、あぁ!夏希のことか。」


夏希、呼び捨てするくらい仲良いんだ。


「大学の同期。あぁ、でも勘違いするなよ、あいつ結婚してるし、ほら、遙。あいつの嫁さんだよ。」


と慌てながら弁解する翔さんは、いつもと違って、新鮮で可笑しかった。


「うふふ……。」


「なに、笑ってんだよ。」


「だって、翔さんが、全力で否定するから、可笑しくて。」


「なんだよ、人が必死こいてるっていうのに……。」

翔さんは、呆れか顔をした。


「あぁ、翔さん、髪の毛濡れてるよ。ちゃんと乾かさないと。ちょっと、貸してください。」


私が翔さんの首にかかっているタオルに手をかけると。


「いいよ、自分で出来るから」


「照れないの、はい、大人しくして。」


と私は、翔さんをソファーに座らせて、ドライヤーとタオルを手に翔さんの髪を乾かし始めた。


「いすぐったいよ。」


「はい、暴れないの。」


と翔さんを抑え込んだ。


「あぁ……。」


翔さんが暴れたせいで少しずれてしまった、Tシャツから、あの時の傷が見えた。


その傷は、私を現実に引き戻した。


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