ココロのナミダ 。
ざわついていた教室が
一瞬静寂に包まれる
「…あの子だよね、
転勤してきた子って」
皆の視線が
一斉に私に向けられる
そう 私は転校生
幼稚園の時まで
此処の区域に住んでいた
ものの親の仕事の事情で
6年間この土地を離れていた
「そうそう。あの日本
銀行の課長とかって」
「いいなぁーセレブじゃん」
「何でこんなトコに
転校してきたんだろうね?」
確かにお父さんは
日本銀行で課長を努めてる
でもせ、セレブって
訳じゃないんだけど…
なんて考え乍
自分の席を見つけて
鞄を置く
別に御高く留まってる
訳でもないし、貧乏とか
金持ちとか友達なら
関係ない
すると水音が
私の傍に寄ってきて
わくわくした様な
口振りで言う
「いいなぁ~留花
初日から注目の的じゃない♪」
『べ、別に
そんなこと無いよ…』
どう返したら
いいか分からずに
吃り苦笑いすると
水音は笑った
「何緊張してんの!
あたしが一緒に居たげるから
心配ないってば♪」
その言葉に私は
不覚にも安堵してしまったんだ
その笑顔の裏に
恐ろしい目論みが
あるとも知らずに ―