Bar GRANT
窪田さんはNAOを介抱している間、一度も俺に視線を向けなかった。
居場所のなくなった俺は、やがて蚊帳の外へ追いやられるように打ち上げ会場を後にした。
一旦は自宅マンションに帰ったけど、どうしても落ち着かなくて、近所のネットカフェで一晩過ごすことにした。
突如訪れた現実の世界。
数時間前までステージの真ん中で歌ってたなんて、自分でも信じられない。
全身に光を浴びたあの時間が夢であったかのように、今、俺の心は闇の底をさまよっていた。
愛想のない店員に個室に通されると、さっそくネットで【skaal】を検索した。
大手情報サイトに、NAOのインタビュー記事があった。