Bar GRANT



窪田さんはNAOを介抱している間、一度も俺に視線を向けなかった。



居場所のなくなった俺は、やがて蚊帳の外へ追いやられるように打ち上げ会場を後にした。



一旦は自宅マンションに帰ったけど、どうしても落ち着かなくて、近所のネットカフェで一晩過ごすことにした。



突如訪れた現実の世界。



数時間前までステージの真ん中で歌ってたなんて、自分でも信じられない。



全身に光を浴びたあの時間が夢であったかのように、今、俺の心は闇の底をさまよっていた。



愛想のない店員に個室に通されると、さっそくネットで【skaal】を検索した。



大手情報サイトに、NAOのインタビュー記事があった。




< 114 / 224 >

この作品をシェア

pagetop