Bar GRANT
印字された残高が、社会人になってから最低額であることを示していた。
「くそっ…!」
あんなに貢がせておいて、そんなつもりじゃなかった、だと?
結婚するからもう会えない、だと?
馬鹿にするにも程がある。
あの女、絶対に許さない。
なんとかして、買ってやったブランドもののバッグやアクセサリーを取り返さなければ。
「お待たせしました」
香ばしい香りを漂わせるコーヒーがテーブルに置かれ、俺は怒りに震えながら通帳を閉じた。