Bar GRANT
さっきまでのは、夢?
そうか、夢だ、夢に見たことが現実と重なるのは、珍しいことじゃない。
「あー…じゃあ、そこまで聞いて、あなたはどう思います?」
俺はわざと、覚えていた台詞を口にした。
けれど女バーテンダーは、夢とは違って曖昧な笑みを浮かべた。
「人生というのは、うまくいかないものだなぁと思います」
「え?」
「…いいえ、何でもありません、あ、そうだわ」
話を逸らすように、女バーテンダーはカウンターにグラスを置いた。