Bar GRANT
呼吸ができず声が出せないほど苦しくなって、助けて、と女バーテンダーに目で訴えた。
それでも、なぜか彼女はぴくりとも動かず、黙って俺を見下ろしているだけだった。
「たの、む…助けて…ぐあぁっ…」
俺は胸を掻きむしりながら、ガタンと派手な音を立てて、椅子ごと床に倒れ込んだ。
「うぅーーっ…」
カウンターの奥にいた男のバーテンダーは?
ソファに座っていた客は?
誰でもいい…助けてくれ…!