Bar GRANT
「私の娘は、客観的に見ても、とても愛らしい顔立ちをしていたわ」
その第一声に、俺はただでさえ苦しい息が、本当に止まりそうになった。
…娘だって?
ちょっと待ってくれ、娘がいるなんて初耳だ。
そんな俺の叫びは届くはずもなく、女は静かに続けた。
「親バカやひいき目なんかじゃない、本当にかわいかったのよ」
街を歩けば、必ず1回はスカウトマンに声を掛けられた。
幼稚園のお楽しみ会の劇でお姫様を演じるのは、いつもあの子だった。
女は、誇らしげな口調で娘の器量の良さを自慢した。