Bar GRANT
たったひとりの男のせいで、娘は人生を自ら終わらせた。
私と旦那は歯車が噛み合わなくなった。
あの男への憎悪は、日毎に増していったわ。
掛けていた眼鏡を突き割って、あの目にタバコを押し付けてやりたいと思った。
でもそんな勇気さえ、出ないのよ。
どんなに娘のためと思っても、声をかけることさえ、怖くてできない。
情けないでしょ。
だから、こうするしかなかったの。
ねえ、聞こえてる?
これ全部、あなたのことよ?
―…