Bar GRANT



たったひとりの男のせいで、娘は人生を自ら終わらせた。



私と旦那は歯車が噛み合わなくなった。



あの男への憎悪は、日毎に増していったわ。



掛けていた眼鏡を突き割って、あの目にタバコを押し付けてやりたいと思った。



でもそんな勇気さえ、出ないのよ。



どんなに娘のためと思っても、声をかけることさえ、怖くてできない。



情けないでしょ。



だから、こうするしかなかったの。



ねえ、聞こえてる?



これ全部、あなたのことよ?



―…


















< 75 / 224 >

この作品をシェア

pagetop