Bar GRANT
「それで、この店に来てくださったのですね」
女バーテンダーの声がすると同時に、あの女のハイヒールが、また俺の頭を小突く感覚がした。
「頼る人がいなかったから、噂を聞き付けて迷わず来たのよ」
「光栄ですわ」
「でも不思議ね、一体誰が彼をここに?」
「きっと、うちの有能な女の子たちだと思いますわ。うまく興味を引くように誘導してくれたのでしょう」
…女の子たち…そうか、カフェの3人組も…。
おかしいと思った、あんなにすいている店内で、わざわざ俺の席のそばに来たりして。
やっぱり人なんて、簡単に信じちゃダメだ…―