愛しの black panther
「なんてね、実は俺も緊張してる…ゆっても豪とは仁と同様に過ごした時間があるからね」
切なそうに微笑った葵に、あたしは何も言えなかった。
「あいつは直に此処にくる、今のうちにく考えとけ」
冷たく言いはなった龍也は、ソファーから立ち上がって部屋を後にした。
「龍也も緊張してんだよ、あいつも同じ思いだからね」
「うん…わかってる」
静かに頷いたあたしを残して、葵も部屋を出て行ってしまった。
「はぁーっ」
盛大なため息を吐いたあたしは、ソファーにもたれ目を閉じた。
自分に全てがかかっている、その重圧に押し潰されそうだった。
でも、彼等もまた同様に苦しんでいる。
葵と龍也の切ない表情が、それを物語っていた。
彼等と出会いまだ数時間しか経っていない、しかし、彼等と過ごす時間がイヤじゃない…そう感じた自分がいた。
でも…早く豪に会いたい、抱き締められたいとも願う気持の間で、ゆらゆらと揺れていた。