愛しの black panther
「あやめ…無事か?」
心配そうにあたしを見つめる豪に、返事を返したいのに上手く声にならない。
「うん…ご…めん…なさい」
「無事ならいい」
優しい笑顔から一変、目線を龍也に合わせると獲物を狩るような鋭い目つきに変わる。
「久し振りだな龍也」
くっと龍也が口角を上げ、豪と同じように目つきを変えた。
「あぁ…そうだな豪」
睨み合う二頭の黒豹は、牽制し互いに一歩も譲らない。
隣のあたしは見ている事しか出来ない。
葵も同じくじっと成り行きを見守っていた。
それはいつもの"ライズ"の面々も同じだった。
暫く睨み合いが続いたが、龍也が不意にあたしの肩を抱いた。
「てめぇ…誰の女だと思ってんだ」
低く地を這うような豪の声に、其処にいた誰もが震えた。