愛しの black panther

「…豪はその時からあたしの事知ってたの?」



「あぁ、仁の大事なヤツが見て見たくて…こっそり見に行った…そしたら仁の隣で笑うお前がいた」



そう言って、豪はあたしの首筋に唇を寄せた。



「……ん…」



「…初めて見た時から惹かれてた…あの笑顔を俺にも向けて欲しい…ずっと思ってたお前が欲しいって…」



耳元で囁く豪の声は、少し掠れて切なくて…胸の奥が締め付けられた。



「だから時々遠くから見てた…あやめを…そんで思ったんだ、俺も強くなるアイツに負けたくねー!ってな」



「それで″ライズ″に?」



「バカなヤローだろ?俺って…兄貴に対抗するなんてな」



「豪は弟なの?」



「仁の方が先に産まれたからな」



あたしはふと疑問が残った。



「ねぇ…豪のお父さんはなんで弟の豪を跡取りに連れ帰ったんだろ?」



「さぁ…あの時たまたま掴んだのが俺の腕だっただけだろ…親父は何も言わねーしな…冷酷な男だ感情を持ち合わせねぇんだよあの人は」
< 123 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop