愛しの black panther
「…豪はその時からあたしの事知ってたの?」
「あぁ、仁の大事なヤツが見て見たくて…こっそり見に行った…そしたら仁の隣で笑うお前がいた」
そう言って、豪はあたしの首筋に唇を寄せた。
「……ん…」
「…初めて見た時から惹かれてた…あの笑顔を俺にも向けて欲しい…ずっと思ってたお前が欲しいって…」
耳元で囁く豪の声は、少し掠れて切なくて…胸の奥が締め付けられた。
「だから時々遠くから見てた…あやめを…そんで思ったんだ、俺も強くなるアイツに負けたくねー!ってな」
「それで″ライズ″に?」
「バカなヤローだろ?俺って…兄貴に対抗するなんてな」
「豪は弟なの?」
「仁の方が先に産まれたからな」
あたしはふと疑問が残った。
「ねぇ…豪のお父さんはなんで弟の豪を跡取りに連れ帰ったんだろ?」
「さぁ…あの時たまたま掴んだのが俺の腕だっただけだろ…親父は何も言わねーしな…冷酷な男だ感情を持ち合わせねぇんだよあの人は」