愛しの black panther
さっきの未歩は何だったのだろうか?
隣を歩く未歩はもう、普段通りの笑みを浮かべている。
「…み…」
やっぱり気になる…あたしが未歩に、声を掛けようとした時だった。
「えっ…どうしたの?」
トイレの前まで来た所で、未歩が不意にしゃがみ込んだのだ。
どうしたのかと、あたしも隣にしゃがみ込む。
「お腹痛いかも…」
「大丈夫?」
「少し休みたいな…」
トイレには行かず、階段の踊場に移動して休むことにした。
「大丈夫?」
「うん…少し休めば平気…」
「ならいいけど…ん…んー…!」
未歩の背中をさすっていると、背後から口元を押さえられたあたしは、意識がはっきりしない中、誰かに担がれていた。
そしてゆっくりと、意識は薄れていく…瞳を閉じてしまう前に、未歩の悲しげな顔が見えたような気がした。