愛しの black panther
「目の前であんたがヤられんのと、大人しく潰されちゃうの黒瀬はどっちを選ぶかな?」
「たとえあたしに何かあっても…豪は潰されたりしない…あんたみたいに弱虫じゃない!」
強気な姿勢を崩さないあたしを、沢田は馬乗りになって見下ろす。
「弱虫…弱虫言ってんじゃねぇ…どんな手使ってもオレはトップになるんだよ」
あたしの胸ぐらを掴み、冷たい瞳で沢田は言った。
ばっと離れた沢田が、「強くなるんだ…」と呟き拳を握り締める。
そして…そのまま黙って部屋を出て行ってしまった。
冷たい瞳の奥に秘めた思い…それが何なのかは解らないが、強い何かを感じたのは確かだった。
未歩の事、沢田の事…気になるのに…極度の緊張と疲労からか目蓋が重い。
「…み…ほ…」彼女の名前を呼びながら、あたしの意識は遠のいていった。