愛しの black panther
―――…
――…
「………やめ……あやめ…」
「………ん…」
遠くで誰かに呼ばれている…そんな気がして、あたしは目を覚ました。
「あやめ…?良かった…」
抱き起こされ温もりに包まれる。
「…み…ほ?」
「……っく…ごめ…ごめん…ねぇ…っ…あたし…あたし…」
顔は見えないが、泣いているであろう未歩が、あたしを抱き締めしきりに謝る。
「未歩…泣かないで?」
「ごめん…ごめんなさい…っく…」
未歩は泣きながら、あたしの手足を縛っていたロープを一生懸命にほどいていた。
「未歩…理由があるんだよね?」
「…………」
「未歩?」
俯いた未歩は、涙を拭いながら静かに重い口を開いた。