愛しの black panther

哀しげに言葉を紡ぎ、自嘲的に笑う未歩。



「そんなあたしをあの人…沢田は何時も気にかけてくれた…時には母親からも守ってくれた…」



「沢田が?」



「うん…だからあたしも役に立ちたかった…ごめんなさい…それがあやめを裏切る事になってしまって」



頭を垂れた未歩に、ずりっと身体を動かし近づくと声をかける。



「未歩の気持ちよく解る…あの人は未歩にとって大切な人なんだよね?」



「…うん…でも…今のあの人は怖い…昔の彼はあんなじゃ無かった…強くなる事に躍起になって周りが見えなくなってる」



未歩は、震える身体をぎゅっと自分で抱きしめた。



「…あの人をとめて欲しい…あやめの彼なら出来るかもって…勝手に思ってた…ごめん」



そう言って、未歩は静かに涙を流した。
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