愛しの black panther

「…っ…ダメだ…」



足を縛るロープは何とかほどけたが、両手を縛るロープがほどけない。



「もういいよ未歩」



「でもっ…」



その時だった、バンッとドアが開かれ誰かが姿を現した。



「未歩…何してる」



思わず身震いする程の低い声…。



カタカタと震える未歩は、ゆっくりと目の前の男に視線をあわせた。



「沢田!」



「…あ…あたし…ごめんなさい…」



あたしの後ろで、震える声で小さく謝る。



ずんずんと近づくと、未歩の腕を掴み立ち上がらせた。



「…やっ…痛っ…」



掴まれた腕が痛かったのだろう、未歩は顔を歪め涙ぐんだ。



パッと腕を離した沢田の瞳が、悲しげに未歩を捉えた。
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