愛しの black panther

「あたし用無しだって…バカみたい…何やってんだろうね…」



「違う、違うよ未歩っ」



「ごめんね…」



一言呟くと、俯き黙ってしまった未歩。



"帰れ"と言った沢田の言葉、あれはきっと未歩を巻き込みたくなかったからだ。



未歩を大切に思う気持ちは変わらないんだよ…。



「未歩…沢田はきっと未歩の事…」



――バァァン



「…な…に…?!」



勢いよく開かれたドアに驚き、そこにばっと顔を向けた。



「お待ちかねのライズさんが来ましたよ?…行きましょうか」



初めて見るその男は、ニヤリと笑ってそう言った。



「シュン君…ねぇ…やめて…悠くんをとめてよ!」



未歩は立ち上がると、近づいてきた男の腕にしがみついた。



「…未歩さん…!無理っすよ…今の総長は誰にも…」



「早くしろシュン!!」



部屋の入り口で、怒鳴ったのは沢田だった。
< 155 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop