愛しの black panther
しがみついた未歩の手を引き離し、小さく「すいません…」と言ったショウ。
あたしの傍らに立つと、立ち上がらせ腕を掴み歩き出した。
「待ってよ、シュン君!あやめを連れてかないで…」
振り向いたその顔を歪ませ、無言で首を振ると前を向き直した。
「…すいません」
「…ぇ…」
チラリとあたしに目をやり、聞こえるように謝ると、意を決したのか真っ直ぐに前を見据え歩き出した。
「行くぞ!」
前を歩く沢田は苛ついているように見えた。
「…悠くん…」
ぴりぴりとした空気を纏った沢田に、未歩は近寄る事ができず、立ち尽くしていた。
―――…
――…
「あやめに触れるな」
恐ろしく低い声…射抜くような漆黒の瞳の豪がそこにいた。