愛しの black panther
「…お願い…もうやめて…やめてぇぇ…」
泣いて頼んでみても結果は同じ、彼等にあたしの声なんて届かない。
「…豪?!」
「…くっ…」
ずっと立ち続けていた豪が、ぐらりと身体を揺らし崩れ落ちた。
「豪!」
「総長!」
海斗達が上げた声に、「…大丈夫だっ」と返し起き上がろうとする豪。
「噂どおりのタフな男だ」
沢田は眉間をぐいっと寄せ、立ち上がろうとする豪を見ていた。
「……黒瀬ぇ…うらぁぁぁ…」
豪に向かって振り上げられた角材。
「いやぁぁぁ!」
叫んだあたしはギュッと目を閉じた。
―ガツッ
鈍い音がし静寂が訪れた後、あたしは恐る恐る瞳を開いた。