愛しの black panther
「沢田さん!やめて下さいっ…」
「のけっ!」
引き止めようとする男の手を振り払うと、沢田はフラつく豪に向かい角材を振り上げた。
「黒瀬…覚悟はいいかぁ…?」
「いやぁぁぁ!」
叫ぶあたしの横から飛び出した人影。
「もうやめて悠君!」
怒りにまかせ角材を振り上げた沢田に、未歩は叫んでしがみついた。
的を外した角材はコンクリートを叩きつけた。
「離せっ未歩!」
「いやっ…お願い…もうやめて…昔の悠君に戻ってよー…」
しがみつき涙を流す未歩を、沢田は引き剥がす。
「未歩…わかってくれっお前の為なんだっ」
「あ…たしの…為…?」
「誰よりも強くなきゃ…お前を…未歩を護れねー!」
沢田の声が響き渡り、誰もがただ黙って2人を見つめていた。