愛しの black panther

「…さぁ、どうだろ?」


はぐらかすように前を向いた俺に、ケンがあわあわとしていた。


彼女、あやめちゃんを見たのは初めてじゃない。


豪から話しを聞き、気になった俺は豪とは別に彼女を見に行った。


兄と共に笑いあうあやめちゃんがいた。


あの時は、豪の気持ちが解ったような気がしたな。


時々耳にする彼女の名前。


愛しげに話す豪を見て、彼女が好きなんだと伝わる。


「どうしたいの豪は?」


「俺のこと知らねーままでもいいって思ってる」


遠くを見つめ、仕方ないだろ…と豪は呟いた。


何でだろう、自分まで悲しい気分になるのは…。

< 189 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop