愛しの black panther
「…さぁ、どうだろ?」
はぐらかすように前を向いた俺に、ケンがあわあわとしていた。
彼女、あやめちゃんを見たのは初めてじゃない。
豪から話しを聞き、気になった俺は豪とは別に彼女を見に行った。
兄と共に笑いあうあやめちゃんがいた。
あの時は、豪の気持ちが解ったような気がしたな。
時々耳にする彼女の名前。
愛しげに話す豪を見て、彼女が好きなんだと伝わる。
「どうしたいの豪は?」
「俺のこと知らねーままでもいいって思ってる」
遠くを見つめ、仕方ないだろ…と豪は呟いた。
何でだろう、自分まで悲しい気分になるのは…。