愛しの black panther

「お帰りあやめちゃん」



溜まり場では、海斗がふわりと微笑みあたしを出迎えてくれる。



「ただいま海斗」



それに答えてあたしも微笑む。



すると、ぐいっと手を引かれ腕の中におさめられる。



「うっぷ…くるしっ」



「豪の独占欲の強さには参るよ…」



もがくあたしを"ぎゅっ"とキツく抱き締める。



「何だまたかよ?!あやめちんも大変だな」



部屋に入ってきた泰治が呆れて言う。



毎日大体こんな感じで始まる、溜まり場での時間。



この時間がいつの間にか当たり前になり、早くみんなに会いたいと思うあたしがいた。



そんな平凡な毎日がずっと続くと思っていた。



あたしは忘れていたんだ、彼らが"ライズ"だって事を、豪は"総長"なんだって事を…
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