愛しの black panther
「乗れよ」
「…濡れる……」
ボソッと呟くように喋ったあたしに、「気にすんな」と彼は言った。
「………」
黙って突っ立ったままの、あたしの背中をグイッと押し車に乗せた。
隣に乗り込んだ彼が合図をすると、車は静かに走りだす。
「心配すんな…悪いようにはしねぇから」
そう言って"ふっ"と笑って見せた。
この人の笑った顔は何故だか安心感があるな…あたしはそう思っていた。