愛しの black panther
「あっ…あのーっ…」
閉じていた瞳をひらくと、ジロリとあたしをひと睨みし口を開いた。
「黙れ…」
「…………」
あたしはそれ以上何も言えなくて、ただ黙って座っているしかなかった。
助手席の彼女も何も喋らず、車内は静まり返る。
妙な緊張感だけが車内を支配していた。
チラリと隣の男に目をやる。
歳は変わらないだろうが、風格があり落ち着いた感じだった。
髪は黒に銀のメッシュ、男らしい顔つきで切れ長の目を窓の外に向けていた。
「………」
じっと見過ぎたせいか、無言で軽く睨まれる。