愛しの black panther
「ねぇ…」
「龍也」
そう言ってからあたしを見据える。
「龍也…さっきの…そのっ…葵って人はどこ?」
「あぁ…じきくる」
あたしに名前を呼ばせ満足したのか、一人掛けのソファーにゆったり腰掛けた龍也が一点を見つめた。
その視線の先の扉が開き入ってきたのは、抜けるような金髪の華奢な男の子。
彼はガラスのテーブルを挟んで、あたしの向かいのソファーに座った。
そんな彼の顔を間近にし、あたしは固まってしまった。
「あたし…おっといけね…俺は 神凪 葵 宜しく」
「………えっ?!」
彼の口から発せられた言葉に、あたしは思わず驚き目を見開いた。
「おっ、男の子…?」
「そりゃあ驚くわなっ、完璧に俺が女だって思ってただろうあんた」
葵がどうだと言わんばかりの態度で話す。
あたしは驚いたままで、ただ頷き続けていた。