愛しの black panther

龍也の怒りを含んだ声に、あたしの身体がビクッと反応する。



がばっと身を乗り出すように、こちらに向く龍也を葵がとめる。



「龍也!!止めなよあやめさんが怯えてる」



「ちっ…」



ソファーに深く座り直し舌打ちすると、龍也は目を閉じた。



俯いたあたしの背中を撫で「ごめんね?」と葵が謝る。



ふるふると首を振るあたしに葵は言った。



「聞いて欲しいんだ…あやめさんに」



その切なく震える声に、葵が泣いているのかと思った。



あたしは覚悟を決め、顔を上げると葵を見つめ静かに頷いた。
< 85 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop