愛しの black panther
「うそじゃないよ…何となく似てると思わなかった?きっと感じてたと思うけど…違う?」
見透かされたように葵に言われた言葉…。
豪に仁兄の面影を重ねていたのは、2人が兄弟だったから。
出会った時から似ている…そう感じていたのはだからだったのかと、あたしは脱力感に襲われる。
「当時あいつらの両親上手くいってなくてね…父親は会社を経営していて女癖が悪くてさ…何時も泣かされて悩んでたみたいなんだお袋さん…」
ふぅーっと息を吐き出した葵が、チラリとあたしに目をやる。
「そんな時出会ったのが、部下であるあやめさんの父親だった…相談したりしてたらしい…それであいつらの父親に仲を怪しまれてね…そして始まったのが暴力」
「暴力…」
父と母の過去…何も知らなかったあたしにとって、それは何かでガツンと殴られたように衝撃的な事だった。