2つの赤い糸
入学式が終わって教室に戻ると諒君の席の周りには女の子がいっぱい集まっていた。
メアド教えてー
とか
好きな食べ物わ?
とか
いろいろ飛び交っている。
凄い…
やっぱりモテるんだ。
私の席らへんにも女の子がいてこれじゃあ座れない。
「あれ、すげーな」
「あっ直樹…」
いつの間にか後ろには直樹がいた。
「ほんとだあー陽菜っち座れないね」
私にもたれかかりながら話すそら。
「う…うん…」
あの調子じゃあチャイム鳴るまで座れないかなあ
って思ってると
「なあ、隣の席の北川さん座れなくて困ってるから君たちちょっと寄ってくれるかな?」
諒君は女の子達にニコッと笑った。
『はい~』
女の子達はあの笑顔にやられてしまったみたいだ。
やっと座れる~
私は自分の席に座った。
キーンコーン…
チャイムが鳴った。
チャイムがなるとみんな自分の席に戻っていった。
「さっきはありがとう」
私は小さな声で諒君にお礼をゆった。
「いや、気にするな」
諒君も小さな声で返してくれた。