花は時に牙で噛む【停滞中】
「あら、社長。妹さんと一緒にお住まいに?」
あたしより断然高くて、大人で綺麗な女の人。
ピンクの形のいい唇からの言葉にちょっと泣きそうになった。
「初めまして、滝川絵美です。名前聞いても…?」
優希はまだ何も言ってないのに、完全に妹だと決めつけた様子のこの人。
ちょっと苦手だ。
「……芽々です。」
あえて苗字を言わないでおいた。
多分、優希は会社では恋人がいないと噂されているに違いない。
パーフェクト社長が、あたしみたいな子供と付き合ってるなんて誰も思わない。