花は時に牙で噛む【停滞中】
だから会社での優希のイメージを壊したくなかった。
釣り合ってないのはあたしがよく知ってるから。
「芽々ちゃん、よろしくね」
そっと出された綺麗にネイルされた手。
こんな手を見られたくなかったけど、優希の会社の人…失礼のないように触るだけの握手を済ませた。
「あの、どうぞ」
そう言ってリビングに進めると、絵美さんを先頭に男の人と橘さん最後に優希が入っていく。
買ってきてくれたらしい優希の手にあったスーパーの袋を受けとる。
それを見て橘さんが手伝うと言ってくれたが、断った。
優希の秘書と言えど今はお客様。
そんな事はさせられない。