花は時に牙で噛む【停滞中】
「…もしもし?」
「橘です、お時間大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です」
「先日はご馳走さまでした。美味しく頂きました。」
「いえ、こちらこそお見送り出来なくてすみませんでした」
「お気になさらないで下さい。それでですね、少し困った事がありまして…」
「どうしたんですか?」
どんな困難でもこなしてしまう橘さんにしては珍しい。
あたしなんかが役に立てる事があるんだろうか?
「実は出先で社長がお怪我をされまして…」
「すぐに行きます!」
橘さんから場所を教えてもらい、麻里子には事情を話してタクシーに乗り込んだあたし。