花は時に牙で噛む【停滞中】
優希が怪我…。
橘さんから電話がくるって事はよっぽどに違いない。
気持ちだけが焦る一方。
どんどんと悪い方向に考えてしまう。
泣いちゃ駄目。
あたしがしっかりしなくちゃ…。
あたしが泣いても何にもならないんだから。
そう自分に言い聞かせた。
病院に着くと、タクシーから飛び出し優希のいる治療室へと急ぐ。
「芽々さん!」
「橘さん!優希は!?」
「こちらです」
橘さんに連れられて、一室に入る。
心臓がドクドクと波打つ。
「社長、芽々さんがいらっしゃいました」
1人部屋のベッドに横たわる優希の姿。
「…優、希……?」
その姿は痛々しく頭と左腕に包帯が巻かれている。
「芽々?」
うっすらと開いた瞳には、しっかりあたしを捉えていて少し安堵した。
「優希、大丈夫なの?」
起きようとする優希を手伝いながら聞く。