花は時に牙で噛む【停滞中】
素直に後を追って入ってみれば、優希はベッドのいつものスペースに上体を起こして本を読んでいる。
「…疲れたんじゃないの?」
逃げたくせに。
さっさと寝ればいいのに。
優雅に本なんて読んじゃって。
声をかけたのに、一向に返ってこない返答にイラッとする。
もういいや。
あたしも寝よ。
優希に何か言うだけ無駄。
あたしまで疲れる。
ノソノソとベッドに潜りこむと優希に背中を向けて布団を被った。