花は時に牙で噛む【停滞中】


「疲れた」


布団を被ってたからはっきりとは聞こえなかったけど、うっすらと聞こえた優希の声。


疲れたんならあたしに構わなければいいのに。

そのままシカトしたら、腰の辺りにかかる圧力。


「…重い」


「…甘いの出して」


あたしの言葉を無視したうえに、苦手なくせに甘いものを催促する優希。


「冷蔵庫にプリンあるから食べていいよ」



そう言ったのに、いつまでも動こうとしない優希。


もう何なの?

重たいし、苦しいし…。


どうにか腰にのし掛かってるものを退かそうとした時、被っていた布団が捲られ、唇に感じる温もり。



< 139 / 196 >

この作品をシェア

pagetop